高所得者は超台湾に移住しやすくなったってホント?
答え:本当です。
外国特定専業人材のカテゴリーの増加、就業ゴールドカードの創設によって、高所得者は台湾に移住しやすくなったと言えます。
特に目玉が、税金の大きな軽減です!通常課される税金からビックリするほど軽減されます。
どうしてこんな制度が?
今回は制度の内容、対応方法を含めて、私、TJ-ブリが解説します。
外国特定専業人材の制度概要
2018年に「外國專業人才延攬及僱用法(以下、外専法)」が制定されました。台湾政府の思惑は、優秀な外国人を台湾にどんどん誘致し、台湾の経済を活性化させ、また、台湾の国際的地位を高めていきたいという点です。
台湾は、海の向こうの中国との関係で、国際的に微妙な立ち位置にいます。
一時、台湾の優秀な人材が中国をはじめ海外に流出してしまっていることで頭を抱えました。しかし、最近では、台湾の主要事業である半導体・関連産業を主軸に、台湾の国際経済力は徐々により高まってきており、また安定したGDPを確保しています。
これに便乗する形で、台湾政府は、資金の還流や回帰投資(海外から台湾へ資金を戻すこと)に対する優遇税制を設置しています。
この外専法の制定もその一環です。
この法の制定の結果、これまでの外国専業人材の他に、外国特定専業人材及び外国高度専業人材のカテゴリーが設けられました。
後者の外国高度専業人材とは、国際的表彰の受賞者などに対する特別な就労許可です。適用範囲は極めて限定的ですので、今回は、外国特定専業人材を中心についてお話をします。
そもそも台湾移住の要件って?
台湾に移住するためには、留学ビザや教師ビザなど、諸種種類がありますが、一番多いのは、就労許可を取得し、就労ビザを取得して台湾に住むことが一般的です。
就労許可は、台湾にある会社がその方の雇用を前提に申請をするものです。
一般の就労許可の場合、「就業服務法」の各種条件を満たす必要があり、特に台湾の雇用者が提供する月額賃金が4万7,971台湾元(約192,000円)以上に達することがバーとなります。
今回説明する外専法によって、この就労許可の取得カテゴリーの中に、外国特定専業人材というカテゴリーでの申請が可能になったということになります。
外国特定専業人材とは?
外国特定専業人材とは、テクノロジー、経済、教育、文化・芸術、スポーツ、金融、法律及び建築設計の各分野の特殊専門人材について、それぞれの分野における条件を充たした場合に申請することで取得する就労許可です。
例えば、もっとも多い「経済」というカテゴリーでは、申請希望者が管理職等の職務を担当していることに加えて、過去または現在の国外または台湾における給与が月16万元(64万円)に達していれば、申請条件を満たし、審査を経ることで許可を取得できることが一般的です。
要は、高所得者ということになります。
外国特定専業人材の身分を手に入れるためには、この台湾企業に「月16万元以上」の好条件で雇用されることが大きなポイントです。
したがって、実際の申請は、雇用者側の企業が主体となって実施します。また、場合によっては会計事務所や弁護士事務所に依頼をして申請許可を進めることになります。
外国特定専業人材は、これまでの外国専業人材と何が違うか?
最も大きい違いとメリットは、大きな税金の優遇があることです。
外国特定専業人材のメリット
主なメリット
- 就労許可や居留証の有効期限の延長(最長3年→5年)
- 直系尊属の親族の訪台にかかる滞在ビザの有効期限の6ヶ月から1年への延長
- 最も大きいメリットとしては、台湾において初めて183日以上居留し、かつ給与所得NTD300万元を超過した年度より3年内において、NTD300万元を超過した額の半額について課税減免という租税優遇(税金の軽減)が受けられる点
租税優遇の内容
簡単な例を示しましょう。
例:年収1,000万台湾元、税率40%、特に所得控除等はないものとします。
- 免税対象額:(所得1,000万-基準額300万)÷2=350万
- 課税の対象額:(所得1,000万-免税対象額350万)=650万
- 課税額:650万×40%=280万
- 租税優遇額:元の税額1,000万×40%(400万台湾元)-実際の課税額280万
=120万元
※実際は、日本と同様、扶養控除など色々と控除できるものがあるので、これよりも小さくなります。 - 上限はないので、つまり高額所得者であればあるほど、大きな租税優遇を享受できるということになります。
- なお、台湾の税金については、こちら「【誰でもわかる台湾の税金】わかりやすく把握【移住・ビジネスでは必須】」で概要を把握できます。参考まで。
どうでしょうか。
年収1,000万元(4,000万円)の場合は、「120万元(480万円)」 という合法な高額な節税です!
収入の10%以上の節税ってすごくないですか?
とても大きな節約となっているのです。
なお、この租税優遇の対応方法は、税務申告にあたって、上記の優遇控除の対応をすれば足り、特に申告にあたって事前申請などは不要です。
【高所得者の方は】実際には…台湾での税金だけでなくて、日本ないし世界の資産・所得にも注意
- 上記はあくまで台湾での税金の軽減となります。高所得の方は、その住む国以外にも、他の国に資産があったり、所得があることもあると思います。
- 実際の台湾での税務申告にあたっては、例えば、日本において資産・所得がある方は日本での税金も考える必要があります。
- 参考ですが、日本の税理士ドットコム(理想の税理士探し)は、案件に応じて様々な税理士の先生を探すことができます。
- 移住やビジネスにあたって、日本でも台湾でも他の世界でも、自分の資産・所得の状況に応じて、まずは無料相談を行い、大体税金がどうなるか、タックスプランを考えるため、自身に合った税理士を探すと良いと思います。
フリーランスの方、台湾で独立して業務していきたいという方は必見「就業ゴールドカード」
今回の外専法の目玉のもう一つが、「就業ゴールドカード」です。
実際のカードはこちらです。
<政府サイトより>
取得の要件は、基本的に上記の外国特定専業人材の要件と同様です。
「就業ゴールドカード(就業金卡)」は、以下の「4つ」の機能を備えた身分ステータスを有するカードです。
- 就労許可証
- 居留ビザ
- 居留証(台湾居住権)
- 再入境許可証(COVID-19の台湾入境規制中の入境も可能)
法によると、台湾で仕事を希望する外国人に対して、就職先が決まっていなくても自身の住む国にて、この就業ゴールドカードのオンライン申請も可能になっています。
> ONLINE申請フォーム:内政部移民署GOLD CARD Application LINK(內政部移民署外部サイト)
オンライン申請後、およそ1-2ヵ月の当局(移民署などいくつかのSTEPがあります)の審査を経て、承認メールが得られれば大使館(台北経済文化代表処)経由でゴールドカード身分を取得することになります。
有効期間ごとに、1年:NT$6,460、2年:NT$7,460、3年:NT$8,460の申請費用となっています。
この就業ゴールドカードを有する場合、台湾の移住ステータスをGETできる他、上記外国特定専業人材の身分と同様に大きな租税優遇を受けることが可能なのです。
就業ゴールドカードは、2020年8月現在、既に1,000枚以上発給されているようです(https://www.roc-taiwan.org/jp_ja/post/74269.html)。
台湾におけるCOVID-19にかかる入境規制中の申請について
- 台湾では、2021年5月19日以降、台湾の居住権を持たない方の入境を規制しており、特別な許可を得ない限りは新たなビザの発給が停止されています。
- 就業ゴールドカードは、居留証(居住権)と台湾再入境許可が含まれているものの、台湾の規制の関係で、この就業ゴールドカードの発行も制限がかかっており、最終的に「特別許可(「專案許可」)」を経てパスポート認証する必要があります。
- 但し、そもそも就業ゴールドカードは、高所得者向け、つまり台湾政府としてはなるべく誘致したい優秀な外国人向けのカードなので、要件を満たせば、通常よりも入境許可を得やすいことは言えます。また、ゴールドカードの申請にあたっては、当該ゴールドカードの対応事務局が特別許可申請を代行してくれます。
- 手続き・状況の詳細は、台湾移民署、または日本の台湾大使館(台北経済文化代表処)にお問い合わせください。
2020年の改正と2021年の改正
さらに、2020年と2021年の法改正によって、外国特定専業人材と就業ゴールドカードにさらなる緩和措置と恩恵が付与されるに至っています。
2020年の改正
この外国特定専業人材は、2018年から法律が制定されましたので、その年度以降適用されるのが当初でありました。しかし、2020年の改正にて、以下の要件を満たす場合には、同じく外国特定専業人材を申請でき、かつ2018年から租税優遇を受けることができるものとされています。
- 2018年よりも前にすでに専門業務に従事するために台湾に居留
- 初めての雇用期間が2018年を含むこと
- 「外国特定専業人材の就労許可」 または「就業ゴールドカード」を取得
2021年の改正
さらに2021年10月よりさらに外国特定専業人材と就業ゴールドカードについて、以下2点の恩恵が拡充されています。
- 永久居留証(つまり、台湾永住権)の申請に必要な居住年数を5年から3年に引き下げ
- 上記の租税優遇措置の適用を3年から5年に延長する
外国特定専業人材と就業ゴールドカードを有する優秀な人により長く台湾にいてほしい、そして、台湾の永住権を取ってずっと台湾にいてほしいということになります。
移住を考える前に読んでおきたい/景気が上向きの台湾!日本人なら高所得案件がある
いかがでしょうか。高所得者の方は、台湾移住がチャンスとなりました。
そして、最近日本の新聞紙上もにぎわせているよう、台湾経済はかなり上向きで、海外への進出も目立っています。例えば、台湾半導体大手TSMCが、日本政府の大きな補助を得て熊本県に進出することは良い例です。
「TSMC」を知らない人は世界経済をちゃんと把握できていないかも!?
半導体は、世界で重要な産業となっています。
そして、台湾はその製造において世界シェアの大半を占めています。台湾の半導体製造ファウンドリの大手「TSMC」社。時価総額は日本一位のトヨタを大きく離し、世界10位(2021年中盤)です。こちら「【半導体を世界一わかりやすく】世界の台湾!ザっと押さえる【台湾経済とTSMC】」で最低限の知識は押さえておきたいです。世界経済を知る上でも大きく役立つはずです。
日本は素晴らしい国です。ずっと日本に住むのも良いことだと思います。
しかし、今はグローバルな世の中になりました。私自身、海外に出て価値観が大きく変わりました。経済・時代は早くなり、今後何が起きるかわからなくなりました。私は、いつでも海外に出れる準備をしておく、海外でも稼げる・住むことができる力をつけておく、これらは自身の将来を守るためにも重要と考えます。
もし、海外移住を考えたら読んでおきたいのはこちら「【海外移住先選びに絶対必要】おすすめは自分の中に【私はこうして台湾を選んだ】」です。きっと自分に適した移住先が見つかるはずです。
そして、景気と共に、台湾の転職市場はさらに活況。但し、業種によって給与は大きな差があります。また、日本人であれば、今回の外国特定専業人材の許可も付帯できるような好条件の案件が見つかることがあります。どうすれば良いか…、こちらの記事「【台湾で転職】日本人が現地採用で勝つための秘訣」もご参考ください。
そもそも海外移住に向いているのだろうか・・・
そもそも海外移住に向いているかは、こちら「【海外移住をなめてはいけない!】失敗しやすい5つのコト【対策も/台湾なら?】」を参考にしましょう。これを見た時に、これは無理だ…と思ってしまったら…。 海外移住をあきらめるきっかけになるかもしれません。
逆に、え、海外移住の失敗って、この程度か…と思ったら、あなたは、海外移住に向いているかもしれません!
まとめ
今回、高所得者が台湾移住しやすくなった、その理由は、外国特定専業人材、及び就業ゴールドカードの制度によるものという話でありました。
- 高所得者は、外国特定専業人材、及び就業ゴールドカードの制度によって、永住権の取得と税金の大きな優遇の点で、台湾に移住しやすくなった
- 外国特定専業人材及び就業ゴールドカードの申請にあたっては、特に所得要件が大事
- 外国特定専業人材の大きなメリットは、大きな税金(所得税)の軽減
- 2020年以降、台湾は優秀な外国人を誘致または台湾に留めたく、制度を緩和・拡充している。
- フリーランスの方の台湾移住を後押しする就業ゴールドカード
- 景気の良い台湾、日本人なら高収入の転職案件が見つかることも増えた
- (コロナの規制を見ながら)今こそ移住を考えるのもあり
このサイトでは、台湾から、皆様がより豊かな人生となることを応援しています。台湾から学べる事、台湾の生活、子育て、台湾移住の方法など、参考になるものがあると思います。よろしければご参考ください。
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