【ここがヘンだよ!台湾企業!】転職前にも知っておきたい特徴【慣習・法律も】

📖 台湾を知る
  1. 【ここがヘンだよ!台湾企業!】はじめに
    1. 台湾企業の特徴?今回の記事の趣旨
    2. どういう視点で「ヘン」?
  2. 【ここがヘンだよ!台湾企業!】パワフル過ぎる台湾人女性!
  3. 【ここがヘンだよ!台湾企業!】従業員同士がオープンすぎる!?
    1. 給与明細を見せ合っちゃうほどオープン!
    2. 社内交際でも、社員旅行に部外者も連れてきちゃうほどオープン
  4. 【ここがヘンだよ!台湾企業!】変わった給与手当体系
    1. 通勤費の支給はなし/食事手当ってなに?
    2. その他にもこんな手当や対応がある
      1. 病欠休暇に対する給与半分の支給
      2. 2016年から開始された有給休暇買取制度
  5. 【ここがヘンだよ!台湾企業!】ワンマン経営が多い
    1. 強すぎる!老闆(ラオバン Lǎobǎn)!
    2. ワンマン経営だとどうなのか
    3. 法律的にワンマン経営って…/事業としてはどうなのか
  6. 【ここがヘンだよ!台湾企業!】忘年会が半端ない
    1. 台湾企業の一年一度の最大イベント!それは忘年会(尾牙:ウェイヤー)!
    2. 1.尾牙の会場と料理・お酒
    3. 2.尾牙中はたくさんのパフォーマンス・出し物
    4. 3.尾牙の最大のお目当て・最大の盛り上がりは大抽選会
  7. まとめ
    1. 今回のまとめ
    2. 台湾企業のおかしいところの話をすると出てくる話…
  8. 番外編
    1. ここがスゴイよ!台湾企業!
      1. 【ここがスゴイよ!台湾!】男性女性の差がなく職場の公平性が高い
      2. その他にも【ここがスゴイよ!台湾!】
    2. 他国に比べるとしっかりしている台湾人
    3. 台湾人から見たら…【ここがヘンだよ日本企業・日本人】

【ここがヘンだよ!台湾企業!】はじめに

台湾企業の特徴?今回の記事の趣旨

TJ-ブリです。

さて、今回は、ここがヘンだよ!台湾企業!をお届けします!

私は、日本の大企業に10年ほど勤め多くの日本企業をクライアントに仕事をしてきました。また、台湾企業、及び台湾人社長(老闆)が仕切っている外資企業ともお付き合いをしてきました。

日本、台湾両方での業務の経験から、小さい企業から大きな企業まで、いろいろな企業と関わりを持ってきた私だからこそ両者を俯瞰して比較することができます。

台湾企業の特徴として、日本人から見れば、他国の企業と比較して受け入れやすい職場環境・勤務環境であると思います。

しかし、日本人から見て、これは・・・ヘンだろ!?と思うこともいくつかあります。

  • 純粋に台湾企業の変わったところを知りたい方
  • 台湾企業に興味のある方、日本企業との差に興味のある方
  • 台湾現地採用、台湾企業で働こうと思っている方

今回の記事で日本人から見た台湾企業の意外なところがわかると共に、台湾企業の環境、それと比較することで日本企業の環境がわかる部分もあると思います。

特に、台湾企業への転職を考えておられる方には、転職後に後悔をしてほしくないため、あらかじめ知っておいてほしいことでもあります。

台湾企業で働いてきたけど、やっぱり日本企業に戻ろうかなと検討されている方にも改めて考えるきっかけにもなればと思います。

日台どちらで働くにしても必ず役に立つ記事と思っています。

どういう視点で「ヘン」?

なお、今回の「ヘン/変」の定義ですが、

日本企業と比較すると、日本企業では見られないコト、考えられないコトといった点で記載しています。

今回の記事を書いていて思ったのが、これは見方を変えるとスゴイことにもなるということであります。「ヘン」と「スゴイ」の線引きが難しいなと思うものがいくつもありました。私の主観もありますが、ご了承ください。

最後には、番外編として、他国と比べると日本人にとって違和感のない台湾企業・台湾人、台湾人から見たここがヘンだよ日本人、も記載しています。

それでは、最後までお読み頂けると嬉しいです。

 

【ここがヘンだよ!台湾企業!】パワフル過ぎる台湾人女性!

台湾では共働き家庭が多いです。女性はとてもパワフルです。バリバリ仕事します。

その中、パワフルを象徴するのが、産休・育休からの職場への復帰が異常に早いことです。

台湾の企業にも、産休・育休の制度があります。但し、制度そのもの、及び実際の取得期間は日本企業よりも短いです。

台湾の労働基準法上は、産前産後にて8週間の休暇を取ることができるものとされ、かつ、この勤務停止期間について、雇用主は給与を払わなければならないとされています。

これが、台湾で働く女性に与えられている法律上の権利です。

台湾労働基準法50条、51条

  • 第 50 條
    女工分娩前後,應停止工作,給予產假八星期;妊娠三個月以上流產者,應停止工作,給予產假四星期。
    前項女工受僱工作在六個月以上者,停止工作期間工資照給;未滿六個月者減半發給。
  • 第 51 條
    女工在妊娠期間,如有較為輕易之工作,得申請改調,雇主不得拒絕,並不得減少其工資。

但し、フタをあけてみるとどうでしょう。

  • 出産間近まで、すごい人だと出産の前日まで勤務する方がいる
  • 出産後、1週間ないし1週間経たずに復帰される方がいる
  • 産休・育休について、法律上認められる期間の取得をせずに復帰する方がいる

こういった状況が多く見受けられます。

台湾では共働き家庭が多く、女性が働くことが一般的だからといって、ここまで責任感が強く、パワフルな女性が多いことは、スゴイを通り越して、スゴ過ぎる、もうヘン!としか言いようがありません。

最初は、本当に驚きました。

日本人
ブリ

あれ!?Aさん!

先週ご出産だったんじゃ!?

はい、女の子が生まれました。

日本人
ブリ

え!?休暇は?産休や育児休暇は取らないの?

はい、仕事もありますからね。

子供は、月子中心(※)の方や両親に面倒見てもらっています。

「月子中心 Yuè zi zhōngxīn」とは…
台湾の産後ケア施設のことで、出産後、専門の方が付き添いで産後のケアをしてくれる施設です。施設に数週間~数か月入った後、施設によっては、その専門の方が家に来てくれてサポートしてくれます。
日本人
ブリ

ええ!?ええー!?あ…おお…そうですか…。

日本人は最初はこんな風に反応してしまいます。私も本当に驚きました。

もちろん、権利を行使し、休暇を取られる方もたくさんいますが、このようにパワフルで責任感の強い女性も多いということです。

滿月(読み方:Mǎnyuè )
通常、出産後の女性は、「滿月」といって、一ヶ月は休養を取るのが台湾の文化です。出産は体力を消耗する、したがって、健康でいるためには女性はしっかり休むべきだ、ということから来ています。
しかし、中には上記のようにそれよりも戻りの早い女性もいる(目につき、多く見える)というのが私の感覚です。

なお、比較すると、日本の労働基準法上は、女性労働者は出産予定日を基準に、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)と産後8週間について休業することができるものとされています。

つまり、法律上の産休育休を合計をすると、日本は産前産後で14週間、台湾は8週間となっています。法律上、台湾の方が短めに設定されているものの、それにも増して短く対応される方がいます。

スゴい…いや、もうおかしいでしょう。パワフルすぎる…

ちなみに、台湾労働基準法では、子供が1歳未満であれば、業務時間中、30分2回の授乳時間は業務とみなせる規定というのもあります。

労働基準法52条
:子供が1歳未満であれば、業務時間中、30分2回の授乳時間を業務とみなせる規定

第 52 條
子女未滿一歲須女工親自哺乳者,於第三十五條規定之休息時間外,雇主應每日另給哺乳時間二次,每次以三十分鐘為度。
前項哺乳時間,視為工作時間。

台湾では、制度もそうですが、託児所を設けている会社、なにかあれば皆で助け合うという点からは、女性の職場復帰やその後の勤務に対する理解は高いように思います。

一点目の【ここがヘンだよ!台湾企業!】は、パワフルすぎる女性がたくさん!という話でした。

【ここがヘンだよ!台湾企業!】従業員同士がオープンすぎる!?

給与明細を見せ合っちゃうほどオープン!

そうなんです。これも驚きました。

台湾人は、給与明細を見せ合ったり、従業員同士で互いにいくら給与をもらっているか言い合うことが少なくないです。
昔より減ったように思いますが、それでもしばしば見受けられます。

基本的に悪意や悪気があるわけではなく、純粋にとてもオープンに話をするということです。これは台湾人が比較的オープンな性格、物事をはっきり言うところから来ているのではないかと思います。

これに対して…
企業側・雇用主側として、対処しておかないといけないのは、同じランクにもかかわらず給与に差があった場合に明確に理由をつけられるようにしておくことが必要です。差がついていれば、従業員からのクレームや労働局に密告されることもあるからです。

社内交際でも、社員旅行に部外者も連れてきちゃうほどオープン

オープンな性格を象徴するものに、社内交際してても気にしない、社員旅行に彼氏・彼女を連れてくるなどもあります。

社内交際があることは日本でもあるでしょうが、一緒に出勤・帰宅したり、休憩中にイチャイチャする場面を見たりと、あまり隠さず堂々ということが多いです。

ある企業で驚いたのは、社内旅行で、会社外部の彼氏彼女を連れてくる、会社外部の友人を連れてくることもあるということです。オープンですね。

そして、さらに日本人として驚きがちなのは、交際相手が同性であっても気にしないということがあります。

さすが、アジアで初めて同性婚が認められた国、台湾!
LGBT(※)の活動が盛んでもありますし、街中で同性愛者を見ることも一般的です。会社内でも態度は同じというわけです。

※「LGBT」とは

Lesbian(レズビアン/女性同性愛者)、Gay(ゲイ/男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル/両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー:主として自身の心と出生時の性別が一致しない人)の頭文字を取った言葉です。性の多様性や文化を強調する活動を指したりする際に用いられます。

もちろん、特定の機密情報を従業員同士で言い合われるのは良くないですし、仕事中に公私混同される場面があっては良くないことですが、オープンであること自体は悪くはないことかと思います。

国や宗教によって、同性愛は賛否両論ありますが、台湾では、一般的に受け入れられている環境ということです。

2点目の【ここがヘンだよ!台湾企業!】は、従業員同士がオープンすぎる!という話でした。

台湾では社員旅行制度を設ける企業が多い

台湾の企業では、「従業員福利委員会」というものを設けている会社が多くあります。
従業員人数50人以上の一般企業に対して設置が義務付けられており、従業員の福利厚生のために積み立てを行い、実際に福利厚生に供するものとされます。社内旅行や後述する忘年会(「尾牙 Wěi yá」)もその一つです。
このため、社内旅行を実施する企業は多いです。

日本だと、会社の人と旅行に行くなんて…パワハラ・セクハラ…上司と旅行に行きたくない…こんな意見が多く、最近では社内旅行はかなり減っています。

台湾人数名に、社内旅行が嫌でないか?聞いたことがあります。同僚もいるし、会社で補助出るし、楽しいじゃん。といった意見が多かったのが事実です。
また、台湾で、社内旅行に参加したくない場合、参加しなくてもいいのか?ですが、法律上強制されるものではなく、あくまで福利厚生である以上、必ず参加しなくとも良いのです。実際に、参加されない方もいます。このあたりも、嫌なものは嫌と、台湾人は主張するのが当たり前なので、わかりやすいですね。

総じて、制度・文化面で日本と台湾で違いがありますね。

 

【ここがヘンだよ!台湾企業!】変わった給与手当体系

通勤費の支給はなし/食事手当ってなに?

日本で企業に勤務をしていると、定期代などの通勤費が支給されることが一般的です。

しかし、台湾の企業では通勤費が支給されることはまずありません。通勤の費用は、各人で給与内で工夫して対応する必要があります。

なお、公共交通機関も安いですし、タクシーも日本に比べたらはるかに安く一般的な乗り物なので、台湾企業や台湾の日系企業に勤める日本人も、あまり文句はないことが多いと見受けられます。

他方で台湾では、「食事手当」なるものが支給されます。

食事手当は給与と共に支給されるもので、月に2,400元までは税金のかからない手当となっていますので、多くの企業でこの枠一杯に支給されています。しかし、この食事手当の部分はあくまで手当であり、給与ではないので、ボーナスに反映されないというのがあります。たとえば、年間ボーナスは、給与2か月分とされている場合に、この賞与の計算の中に毎月の食事手当は含まれません。

例:月給50,000、食事手当2,400元
⇒ ボーナスが2か月分とすると…(50,000-2,400) × 2 = 95,200

あれ!?ボーナス10万元じゃないの? 食事手当が免税であったとしても、なんとなく損した気分になる現地採用の日本人はいると思います…

 

日本では、通勤費を支給することが一般的ですので、通勤費が支給されないことはおかしいと思うでしょうし、また逆に、食事手当は馴染みがないものです。

なお、この点、例えば、欧米企業も通勤費は支給しないことが一般的のため、日本企業が特徴的という見方もあるようです。

その他にもこんな手当や対応がある

病欠休暇に対する給与半分の支給

台湾の労働基準法関係法令規定上、通常の病欠の場合(入院でない場合は年30日間まで)に給与の半分を支給しなければならないことが明記されています。これも驚かれる日本人管理者の方がいるのも実情です。

勞工請假規則 第 4 条

勞工因普通傷害、疾病或生理原因必須治療或休養者,得在左列規定範圍內請普通傷病假:

一、未住院者,一年內合計不得超過三十日。

二、住院者,二年內合計不得超過一年。

三、未住院傷病假與住院傷病假二年內合計不得超過一年。

經醫師診斷,罹患癌症(含原位癌)採門診方式治療或懷孕期間需安胎休養者,其治療或休養期間,併入住院傷病假計算。

普通傷病假一年內未超過三十日部分,工資折半發給,其領有勞工保險普通傷病給付未達工資半數者,由雇主補足之。

2016年から開始された有給休暇買取制度

2016年の労働基準法の改正によって、法定の有給休暇(中国語:特別休假 Tèbié xiūjià、略して「特休」と言ったりもします)の日数が増加すると共に、未消化となった有給休暇の企業の買い取りが義務化されました。買取の期間は、法改正当初は1年でしたが、さらに1年は繰越すことができるものとされています。この1年の年数の起算は、入社年度・暦年・会社の会計年度のどれかで計算されます。

政府は、なるべく民間人に休んでほしいという思惑でしたが、実際は、この改正によって、台湾人の有給休暇取得の意向が少し減り、お金で精算してほしいというインセンティブが働いたように思います。これも、新たな傾向ですね。露骨に台湾人の意向が出ており、台湾人の主張がストレートなこともわかります。個人的には面白いなと思いました。

労働基準法 第 38 条
:法定有給休暇日数の規定、及び未消化有給休暇の買い取りに関する規定

勞工在同一雇主或事業單位,繼續工作滿一定期間者,應依下列規定給予特別休假:
一、六個月以上一年未滿者,三日。
二、一年以上二年未滿者,七日。
三、二年以上三年未滿者,十日。
四、三年以上五年未滿者,每年十四日。
五、五年以上十年未滿者,每年十五日。
六、十年以上者,每一年加給一日,加至三十日為止。
前項之特別休假期日,由勞工排定之。但雇主基於企業經營上之急迫需求或勞工因個人因素,得與他方協商調整。
雇主應於勞工符合第一項所定之特別休假條件時,告知勞工依前二項規定排定特別休假。
勞工之特別休假,因年度終結或契約終止而未休之日數,雇主應發給工資。但年度終結未休之日數,經勞雇雙方協商遞延至次一年度實施者,於次一年度終結或契約終止仍未休之日數,雇主應發給工資。
雇主應將勞工每年特別休假之期日及未休之日數所發給之工資數額,記載於第二十三條所定之勞工工資清冊,並每年定期將其內容以書面通知勞工。
勞工依本條主張權利時,雇主如認為其權利不存在,應負舉證責任。

台湾現地採用で重要となるおカネ事情、給与賃金・年収・月収面については、こちらでまとめていますので、よろしかったらご参照ください。

>💰 【台湾おカネ事情!これが給与実態!】現地採用の狙い目!【移住への第一歩】

【ここがヘンだよ!台湾企業!】ワンマン経営が多い

強すぎる!老闆(ラオバン Lǎobǎn)!

台湾含む中華圏では、社長のことを「老闆 Lǎobǎn」と言います。

台湾には、老闆がたくさんいます。上場しているような大きな企業から、上場していない中小企業含めてたくさんの会社があり、それぞれの社長は皆、老闆です。部門のリーダーを老闆と呼ぶこともあります。

台湾企業の特徴として、この老闆の権限と実行力が強く、日本人から見るとワンマン体質と見られることが多くあります。

老闆の言うことは絶対!

老闆の鶴の一声で全てが決まる!

老闆の一言で全てが覆る!

従業員が振り回されるなんてことも珍しくありません。

和を重んじる日本からすると、驚きの光景だったりします。

ワンマン経営だとどうなのか

ワンマン経営のメリットデメリットは言わずもがな以下です。

ワンマン経営のメリット

  • 意思決定が早い
  • 技術進歩が早い現代においては、意思決定のスピードが求められる点でマッチ
  • 老闆の許可のみで済むなら、意思決定プロセスは効率的
  • 責任の所在が明確

ワンマン経営のデメリット

  • 老闆(社長)がイマイチだと、会社ごと業績が一気に悪くなることも
  • 従業員が振り回される、翻弄されることも
  • 従業員にYESマンが増える傾向、自分で考えることをすすめない老闆(社長)だと従業員の自主性が少なくなることも

一律に老闆といっても、オーナー社長か、雇われ社長かでも異なりますが、いずれにしても、老闆の権限と実行力が強いというのが特徴です。

法律的にワンマン経営って…/事業としてはどうなのか

なお、株式会社であれば、老闆は法的には、会社を代表する「董事長」、または会社で決めた範囲で代表する「総経理」というポジションです。日本で言う代表取締役社長というところでしょうか。
会社の重要な意思決定は、董事(取締役)が集まって決める董事会、ないし、さらに重要な意思決定については株主総会で決めることにはなりますが、それぞれの意志決定機関に持っていくまでの老闆の対応が強力で、かつ、株主も兼ねるオーナー社長てあれば、さらにその老闆の権限は強いということです。

ただ、これ自体は法律に違反しているわけではなく、また、他にもある程度株式を持つ株主がいれば、会社の意思決定に対して反対請求することも会社法上は認められています。

台湾の場合は、会社の所有と経営が一致しているケースが多く、そうでない場合も社長の決定力、実行力が強い傾向にあるわけです。

なお、逆に日本と対比すると、日本は和を重んじるばかりに、意思決定が遅い、意思決定のプロセスが極めて非効率であると、世界でも指摘されることが多いですね。そのため、台湾のワンマンが極端に見えることもあるかもしれません。

台湾では、日本に比べると圧倒的に転職率が高いですが、ワンマンの傾向が強いことからも、社長についていない・同意できないという点で転職を判断するケースも多いことが言えます。

時代の流れからすると、慎重すぎる経営よりは、ある程度、リスクをとった早い意思決定は大事かもしれません。

 

麦一

ちなみに、老闆は、部下と食事をする際は、おごってあげるのが当たり前といったこともあります。おごりが少ない老闆は、「小氣 Xiǎoqì」と言われ社内の人気が低下します。

ブリ

権限が大きい代わりに、責任も大きいし、また負担もあるということですね (笑)

 

【ここがヘンだよ!台湾企業!】忘年会が半端ない

台湾企業の一年一度の最大イベント!それは忘年会(尾牙:ウェイヤー)!

最後は、会社の忘年会についてです。台湾では、忘年会を「尾牙(ウェイヤー Wěi yá)」と呼びます。

この尾牙は、どの企業にとっても基本的には年に一度の一番大きなイベントとなります。クライアントを含めて多くの尾牙に参加させてもらいましたが、規模の大小はあるものの、とにかくすごく盛り上がります。

日本だと忘年会すら実施することが少なくなっており、対して、台湾ではお金のかけ方が半端ないということで、ここがヘンだよ!に認定しました。

台湾の尾牙のポイントはこの3つかと思います。

  1. 豪華な会場に美味しい料理にお酒
  2. ダンスやマジック、社内カラオケなどのイベント
  3. 大抽選大会

実際に参加させてもらった、とある大きな会社で開催された尾牙を例として挙げましょう。盛り上がりとダイナミックさに本当に驚きました。

1.尾牙の会場と料理・お酒

会場は、結婚披露宴や企業イベントも開催できる巨大な会場。約2,500人ほどが参加し、それを収容できるキャパシティです!とにかく広い。

そして、料理が豪華
台湾料理のフルコースに、ビール、ワイン、ウィスキーといった飲み物がふるまわれます。自分で好きなお酒を持ってくる人も多いです。

料理は、カラスミ、鳥料理を中心にした種類豊富な前菜から始まり、炒め物、揚げ物、多くの料理が出てきます。そして、続々メインディッシュとして、北京ダック、豪華なスープ、鍋(スープが二回でる感じです)、大きな魚の蒸し料理、デザート…

とても食べきれません。

これに加えて、色々な人と酒を飲みかわします

これだけでも盛り上がらないわけがありません。

ちなみに、お酒を飲まない人もいますので、ジュースや水で乾杯している人も多かったですね。そのあたりは、台湾の主張がはっきりしていて自由で良いところかと思います。

2.尾牙中はたくさんのパフォーマンス・出し物

尾牙中、3回ほどパフォーマンスがありました。

最初は、プロのダンサーによるダンスパフォーマンス。披露宴会場でもあるため、ライトアップをふんだんに使った派手なパフォーマンスです。序盤からボルテージあがりまくりです。

途中は、プロのマジシャンによる、マジックショー。鳥を使ったものや、ステッキが浮くものなど、普通にスゴイです!生でマジックを見るのは楽しいですね。
メインイベントは、社内のお偉いさんが出てきての人体浮遊のマジック!会場内は、従業員の方たちで大盛り上がりでした!

3度目のパフォーマンスは、楽器の演奏でした。きれいな衣装を着た5人くらいの女性グループによる伝統楽器の演奏パフォーマンスでした。歓談の時間でもあったので、少ししっとり目のパフォーマンスだったのではと思います。とても豪華な演奏で、なんとも贅沢な歓談な時間でもあったなと思います。

3.尾牙の最大のお目当て・最大の盛り上がりは大抽選会

そして、尾牙一番のイベント!それは大抽選会です!

どこの企業でもこれが目玉イベントです。

電化製品やモノ、現金などが、抽選でたくさんの人にあたります。この会社は人数も多いので、テーブルごとのグループ賞があったり、個人賞も。イベント内、複数回に分かれて抽選が実施され、多くの人が当選します。

電化製品やモノの当選では、終盤になると、i phone 最新機種、DAISON最新機種、i pad にMAC bookなど。この会社ではなかったですが、企業によっては、車やバイクを贈呈することも!すごい・・・。

さらに驚くのは現金の当選。200元から始まり、1万元、2万元…

この会社の1位は10万元(日本円39万円)でした!!!

さらにさらに、最後に超盛り上がるのが「加碼 Jiāmǎ」コールです!
要は、アンコールなのですが、老闆を最後に、上席者は自ら追加賞を設けるのです。
1万元が10人にもう一本…といった形で、チャンスがさらに広がるわけです。

従業員のボルテージは最高潮!そして、老闆たち・上席者たちが自身のプライドをかけて従業員へ追加賞をふるまいます。おもしろい光景だなとも思いました^^

 

尾牙で当選した景品や現金に対する税金って…

2,000元以上は、源泉徴収の上で税金も発生します。これは台湾の源泉徴収税の規定に従ったもので、尾牙の当選であっても例外はありません。このあたりは脱税のないようにしっかり管理されています。

企業によっては、ホテル会場や、展示会会場、地方のホテルの一部を貸し切りといった感じで実施され、最後に特大花火ショーのある会社も。

日本でこの規模の忘年会は見たことがありません。とある日本の上場会社の50周年イベントよりもはるかに台湾の尾牙の方がすごいというのが私の印象です。

台湾の尾牙はさらに、毎年開催ですからね、本当に驚きます。
ということで、台湾企業の尾牙、すごすぎるということで、ここがヘンだよ!認定にしました。

台湾尾牙については、別の記事でもピックアップします。乞うご期待!

台湾の最近の尾牙の開催傾向
最近は、少しコンプラを意識して、お酒について控え目となっている印象です。
また、台湾は2020年はコロナを抑え込んだので尾牙は問題なく開催されましたが、2021年は開催制限がなされるかもしれません。
尾牙も時代の流れによって変わってくるものでしょう。

まとめ

今回のまとめ

【ここがヘンだよ!台湾企業!】いかがだったでしょうか。

  • 女性従業員がパワフル過ぎる
  • 従業員同士がオープンすぎる
  • 変わった給与手当体系
  • ワンマンオーナー(老闆)の強さ
  • 忘年会が半端ない

この他にも、様々な特徴はありますが、今回は5点挙げました。

他には…
こんなのがあります。台湾人固有のものであったり、人にもよるので、今回は除外しましたが、日本人から見ると驚くものもあるかもしれません。

  • 朝、出勤するやいなや、朝食を食べ始める。
  • バイク通勤をして、ヘルメット(含 フルフェイス)をオフィスに持ち込む。
  • ランチタイム中に昼寝をする(電気を消す会社も多いです) ←個人的には良いことと思います。
  • 結構きわどい・露出の多い恰好で出社する女性がいる(それがおばさまだったりもする)。
  • 男性で髪の毛をセットしなかったり、女性で化粧をしない方の割合が多め。
  • オフィス、会議室の冷房の温度設定が異常(寒すぎる)。
  • オフィスは冬でも冷房をかけたりする。
  • 真夏の日でも、どんなに暑くとも、客への飲み物はホットドリンク(熱いお茶、熱いコーヒーなど)。

話の角度は少し変わりますが、台湾企業のオーナーや経営者は、アメリカに留学していることが多い印象です。台湾の政策として英語教育や国際化に注力していることもあって、教育も経営も欧米化している傾向にあると思います。
その辺りで、日本人から見ると違和感や驚くこともあるのかもしれません。

台湾企業のおかしいところの話をすると出てくる話…

今回のようなテーマの話をすると、台湾企業ないし台湾の日系企業において、台湾人は残業しない、休みをしっかり取るとか、逆に台湾企業でも残業が多い、有給が少ないといったことを挙げる人もいます。

有給、残業が多いとか、ブラックだ、といった点で、日本と台湾を比較しても私は意味はないと思いますし、また、こういった問題は、国の違いというより、経済環境や企業個々の問題であり、そもそも自分に問題があったりします。

これに対して、大事なのは、どういう制度がその国に整備されていて、かつその企業でそれがちゃんと機能しているのか、その上で自ら動くこともできるのか、ということかと思います。

今回は、これを踏まえまして、「ここがヘン!」を記載しました。

日本で働いている人で、残業が多いから嫌だ、有給が取れないから嫌だ、会社がブラックだから嫌だ、だから海外で働きたい!台湾は残業どうなんだ!有給とれるのか!?という人がたまにいます。この発想は危険だなと思います。たぶんどこで働いても、悩みは尽きないだろうなと思います。

結論としては、台湾企業で働いていても、会社によっては残業が多め、有給が取れないといったこともありますので。

これに対して、企業が残業を強制する、有給を取らせない、ワンマンの横行…といった問題があった場合には、働く人はその会社でどういう対応がとれるか?国の制度で補完されているかといったことかと思います。

現地の採用においては、日本でも台湾でも、自分のマインドはもちろん、企業の制度のほか、その国の制度を確認することが大事です。

今回は、台湾の雇用に関する制度もいくつか紹介しました。
制度を知っている知っていないは大きな違いです。現地採用にあたって、この記事がお役に立ったら幸いです。

台湾現地採用や台湾移住や転職を検討するにあたっては以下の記事をセットで押さえ備えることが良いと思います。

台湾移住を検討するのに重要な転職・求人の探し方、これに日本人が勝つための秘訣
>💡 【台湾で転職】日本人が現地採用で勝つための秘訣【移住への大きな一歩】

海外移住先をどう選ぶべきか?現地の何の法律や制度を把握するかのヒント
>🌎 【海外移住先選びに絶対必要】おすすめは自分の中に【私はこうして台湾を選んだ】

いずれにしても、台湾現地採用、転職にあたっては、しっかり転職エージェントに相談に乗ってもらい、条件面含めて、自分にあった会社を見つけることが良いです。

様々なエージェントを比較した結果、海外・ハイクラス専門のJACはすすめられます。ご参考まで。非公開の好条件案件もあるので、転職を考えている方はとにかく早めに登録だけしておくことが良いでしょう。

 

今回の記事は以上です。

以下、番外編として、【ここがスゴイよ!台湾企業!】他国と比べると台湾人って…、台湾人から見た【ここがヘンだよ!日本企業!日本人!】を紹介します。

番外編

ここがスゴイよ!台湾企業!

ここでは、ここがスゴイよ!台湾!を少々。

【ここがスゴイよ!台湾!】男性女性の差がなく職場の公平性が高い

元々、共働きが当たり前ということもあって、職場において、女性だからどうこうといった議論はほとんど聞きません。

総統は蔡英文氏、高級スポーツ自転車世界一の企業「GIANT」の社長、有名台湾レストラングループ「欣葉」の社長など、社会で多くの女性が普通に活躍しています。

特に、金融、証券、会計事務所、弁護士事務所など、女性従業員の割合も多く、経営幹部のほとんどが女性ということも珍しくありません。

男性・女性関係なく、適材適所でポジションを決めている印象です。

職場での男性女性の地位の差はなく、また、「女性幹部を30%に!」なんて言葉もありません。

また、上述の通り、台湾はアジアで最初に同性婚を法制度化し、LGBTの活動も盛んであることから、性の多様性についても受け入れられていることが一般的で、これは職場においても同様です。性差別が限りなく少ないという点、模範となる国なわけです。

その他にも【ここがスゴイよ!台湾!】

私の思う【ここがスゴイよ!台湾!】は以下の点です。

  • 【ここがスゴイよ!台湾!】労働者の権利が強い 
    ←2016年の民進党政権移行後は特に法律が強化 
  • 【ここがスゴイよ!台湾!】お休みの徹底 
    ←上述の通り、残った有給買い取り義務化の労基法改正によってお金で精算してほしい人も増えました。
  • 【ここがスゴイよ!台湾!】礼節をわきまえている、お返しやギフトが半端ない
    ←台湾人はギバーが非常に多い印象で、季節やイベントごとの贈り物、普通の時でもお返しがしっかりしています。これについては、日本の文化が薄れてきている、忘れてしまったのかな…という気もします。
  • 【ここがスゴイよ!台湾!】主張がはっきりしている 
    ←業務について疑問があれば、これ私がやるのですか?なんでですか?主張がはっきりしています。上司はしっかり説明をすることが必要です(逆に日本はこのあたり曖昧だったりするとも思います)。

【ここがスゴイよ!台湾!】は、また別の記事を記載しようと思います。

他国に比べるとしっかりしている台湾人

個人差はありますが、以下、私の印象です。

日本人が他国で経験する職場上のトラブルは、台湾では総じて少ないと言えます。

  • 時間を守る
  • 礼節をわきまえている
  • 列にちゃんと並ぶ、順番を守る
  • 定時になったらすぐに帰宅ということでもない(指示をすることで残業もする←これに対して嫌だと主張もしっかりします。)

台湾人から見たら…【ここがヘンだよ日本企業・日本人】

今回の記事とは反対に、台湾人から見た【ここがヘンだよ日本企業・日本人】には、以下のようなものがあるようです。

  • 何を言いたいかわからないことが多すぎる(主張がはっきりしない、嫌なことがあれば言えばいいのに。)
  • 細かすぎる
  • 仕事上でもどうしてそんなところにこだわるのかわからないことが多い
  • 愚痴が多い
  • 酒を飲む頻度が多すぎる

あくまで個人差はありますが、なるほど~…と思いました。
ともに台湾人から実際にあった感想です。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

コメント