- 台湾現地企業に勤める方の生活を見てみたい
- 2021年10月某日 カオルコ&HIROさんの対談
- まとめ
- 今回のインタビューにおいて、参考となる記事一覧
- HIROさんの子供はまだ幼稚園児。どうして、子供の小学校を見据えて住居を決めているのか?
- 大切な我が子を安心して預けるために。日本人の台湾における幼稚園選びはこちらを押さえておきたい。
- HIROさんも悩む台北の家賃の高さ…1円でも家賃を下げたい、当然と思います。こちらに「将来も踏まえた長い視点をもった」交渉術まとめています。
- HIROさんの考える子供の小学校。台湾においても、小学校から教育熱心?政府主導の国際化教育とは?
- 子供への「バイリンガル教育」。最も重要な要素は外国語(中国語)ではない?
- 台湾の子育て環境。正直なところ満足できるものなのか?
- 台湾子育てにおいても必須!タクシー・Uber・配車アプリ事情
- 学生生活は一生に一度。正常な暮らし、青春を送ることができる素晴らしさ。全ては台湾政府の対応。コロナ対応から見る今後の安心とは?
- 特別インタビュー前編はこちら
- 今回のインタビューにおいて、参考となる記事一覧
台湾現地企業に勤める方の生活を見てみたい
はじめに
こんにちはカオルコです。
今回は、サイト運営主のTJ-ブリの台湾在住の日本人仲間HIROさん(仮称)にご協力を頂きまして、台湾移住後のご生活、子育てという点で色々と話を聞きました。
この記事の前編記事として、TJ-ブリより、HIROさんの「どうやって台湾移住したか?現地採用までのストーリーと生活の概要等」をインタビューしていますのでこちらも合わせてご参照ください。
インタビュー対象プロフィール
HIROさん
- 年齢:30代後半
- 台湾在住歴:6年経過7年目
- 会社:台湾現地採用(商社管理職)
- 年収:250万台湾元(1,000万円程度)
- 家族構成:奥様(台湾人)は専業主婦、お子様1人(幼稚園年中)
- 趣味:ゴルフ、グルメ、読書
このセッションでは、以下のような内容をお伺いしています。
- 台湾現地採用者HIROさんの生活を紹介
- 台湾駐在中と台湾現地採用、生活の差について
- 台湾人の奥様、お子様1人(幼稚園年中)、台湾の生活で良いところ、気になるところ
- HIROさんの家庭の子育て事情
- お子さんの今後の進路をどのように考えているか
- 最後に、ファミリーでの台湾移住検討者、台湾在住ファミリーへのコメント
台湾現地のハイクラス採用を獲得。実際には、どのような暮らしなのか、垣間見えると思います。
(最初に)知っておきたい!【海外駐在】と【現地採用】の違いとは?
【海外駐在】と【現地採用】の違いとは?
- 「海外駐在」とは、例えば、日本本社からの命令で海外に派遣されることです。所属は基本的に日本の本社で、戻ることが前提となります。
- 「現地採用」とは、ある国現地の会社に完全に就職することです。所属は、その国の会社となり、どこかに戻るといった話はありません。
- 「海外駐在」にあたっては、転勤と同じように会社の指示のもとで異動するので、住宅費用の手当、赴任手当、税金の負担など、色々な手当がつくことが一般的です。但し、本社採用であることには変わりませんので、本社に戻ったり、またどこかに異動となったりします。
- 他方、「現地採用」は、単にある会社に就職しただけですので、駐在ではないため上記のような手当はありません。その代わり、現地採用先の指示がない限りはどこかに異動するといったことはありません。
- 他にも詳細な違いはありますが、まずは両者の差の概要を押さえておきましょう。
2021年10月某日 カオルコ&HIROさんの対談
<ここからは対話形式にて、録音した内容をなるべくそのまま記載します>
台湾現地採用⇒結婚⇒子持ち家庭へ 台湾現地採用で収入減少⁉不安は⁉
カオルコ:HIROさん、この度は貴重なお時間を頂きましてありがとうございます。今回は、HIROさんの台湾でのご家族での生活、子育てといったところ色々お話を伺いたいと思っています。よろしくお願いします。
HIRO:カオルコさん、今日はよろしくお願いします。
カオルコ:HIROさんは、台湾人の奥様と幼稚園年中のお子様との3人暮らしですね。まず、HIROさんの台湾での生活について教えてください。
HIRO:はい、私は、およそ6年前に日本の会社の駐在員として台湾に来ましたが、駐在期間の満了と共に台湾現地企業に転職しました。その後すぐに今の妻と結婚をしまして、少ししてから子供ができました。今、子供は幼稚園に通っています。
台北市内でマンションを借りていまして、休日は主に家族と一緒に過ごしています。たまにブリさん含めた子持ち家庭の知人とも食事をしたり遊びに行ったりします。
カオルコ:HIROさんは、日本の会社の駐在員から、台湾企業へ転職されたということですが、日本の会社を退職することは、勇気のいる決断だったのではないでしょうか。
駐在員は一般的に手当が厚い、台湾現地企業に転職される際は、結婚も見据えていたと思いますので、収入面の不安などもあったのではないでしょうか。
HIRO:そうですね、確かに収入という点だけで見れば不安はあったかもしれません。
しかし、台湾駐在の約3年、仕事については私の中で消化不良でしたし、まだ台湾で仕事がしたい、そして、このまま日本に帰っていいのか、人生一回きりだし、台湾でまだやりたい、そういった気持ちが収入への不安な気持ちを勝りましたね。
それと、日本に戻ることの不安があったのも確かです。
あまり日本のことを悪くいうつもりはありませんが、この先の人生50年、正直、日本の将来と日本で生活することの不安があったのも事実です。
収入は減ったとしても、自分の希望、日本に帰ったからといって不安が解消されるのか?
妻にしたい人を本当の意味で守るためには、自分自身が納得した形でないといけない…
希望と迷いと葛藤、不安、色んな感情が混ざりました。
この時、ブリさんとも色々お話をさせてもらいました。
- 仕事・生活っていう点では、台湾とか、日本とか、国境は気にしないようにしておくことが良い
- 額面収入が減ったとしても、「手取り」と「支出」も考えるべき
- 将来、老後のお金は、自分で考えるべきこと
- 最後は直観に頼るしかない!
このあたりは刺さりましたね~。背中を押された感じでしたよ。
カオルコ:なるほど、それで日本を退職されてでも台湾現地を選択し台湾で生活することを決めたのですね。
駐在員時代から収入は減ってしまった、ということですが、実際の現地採用となってから、生活への影響はどうだったのでしょうか。
HIRO:はい、駐在員時代は、本当に手厚い手当がありました。住宅家賃手当(賃料満額)、1年に2回の帰国費用の充当、海外保険(医療費などは全て保険で賄われました)、1年に1回の健康診断(人間ドック)などがあります。発生する税金まで多くを負担してくれていました。さらに、家族がいる方は、家族手当や、子供の義務教育までの教育費用なども会社が負担してくれますので、駐在員は本当に手厚いです。
現地採用になれば、当然これら手当は一切ありません。
しかし、台湾は日本に比べると税金も健康保険も安いですし、厚生年金といった費用もありません(※台湾は公的退職金を会社が負担)。給与額面で見れば日本より少ないかもしれませんが、手取りでみたら台湾の方が多いのが事実です。
それを考えれば、手当がなくとも、まぁ許容することができ、そもそも、運良くある程度の年収を確保できたので、台湾での生活、こちらの支出を考えれば、子供ができてもやっていけるだろうと思いました。また、年収・収入自体は、もっと仕事を頑張って昇進したい、そして、自分でもしっかり貯蓄を投資にも回して将来設計しておくべき、そういう考えに至っています。
ただ、台湾は不動産が高騰しており、家賃も上昇傾向なので、家賃については痛いところではありますね。
HIROさんの生活コスト、暮らしっぷり
カオルコ:先ほどのTJ-ブリとの話では、年収250万元(1000万円)ほどということでしたね。このような転職先を見つけられたのもHIROさんの実力と経験ですね。現在の支出をおさらいさせていただけないでしょうか。
HIRO:転職については、本当にタイミングと運が大きいです。自分でその確率を上げるには数を打つしかありません。そのために、色々な転職エージェントに登録して相談に乗ってもらったことも大きかったですね。
生活支出はおよそこんな感じです。
項目 | 台湾元(日本円) |
家賃 | 6万元(24万円) |
生活費 | 3万~5万元(12万~20万円) |
子供の幼稚園学費 | 1万5,000元(6万円) |
子供の習い事(塾・体操) | 5,000元(20,000円) |
趣味・その他支出 | 平均1万元(4万円) |
貯蓄・投資 | 毎月2万ー4万元(8万円~16万円)が目標 |
カオルコ:具体的にお話を頂き、ありがとうございます。生活コストのウェイトとしては、やはり家賃ですね…
HIRO:そうなんです。繰り返しですが、台湾、台北の家賃が高騰していることもあり、本当は家賃は見直したいところなんです。ただ、購入するのはもっと難しいし、やはりアクセスと利便性を考え、子供の小学校を見据えて今の場所を選んでいる、そういった点では致し方ない状況かと思っています。
家については、たまに「591租屋」をチェックして近隣でより良い物件がないかチェックもしたりしています。
カオルコ:この記事を読む方にとって、とても参考になると思います。
子育て家庭の台湾生活の良いところ、気になるところ
カオルコ:台湾にご家族で住まれていて、台湾の生活の良いところをお聞かせください。
HIRO:はい。まず、私のような子持ち家庭にとって、台湾は子育てがしやすいなと思っています。子供と歩いていると、色々な人に声をかけられます。「かわいいねえ」、「いくつなの?」、台湾の方は子供に興味を持つ方が多く、そこから生まれるコミュニケーションにはあたたかいものを感じます。電車やバスで席を譲っていただくことも、若い人から老人の方まで当たり前に譲ってくれますが、私は世界では当たり前ではないものと思います。台湾の方の子供への理解、子育ての理解があってのものと思います。
まず、人が支える社会環境は、子育てをする上でとても大事なものと思います。
そして、台湾は、治安が良く、医療体制も整っていますので、子育てをする上での基盤は十分と言えると思います。
カオルコ:反対に、子育て家庭にとって、気になるところや不満に思うようなところはありますでしょうか。
HIRO:そうですね、台北に住んでいて思うのは、車、バイクの交通量が多いことは挙げられます。歩道に乗り上げてくるバイクもいますから、子持ち家庭にとってはやめてほしいと思ってしまいます。こればっかりは気を付けるしかないのですが、もう少し車やバイクを乗っている方も配慮してほしいのは本音ではあります。
カオルコ:確かに、私も何度も車やバイクで恐いなと思ったことがあります。歩道を歩く時も、青信号であっても気を付けるようにはしています。
HIRO:他方で、タクシーやUberといった乗り物の料金が安いので、これはありがたいですね。
子連れだと、どうしても公共交通機関だけだとしんどい時があります。例えば遊びに行った帰りとか、もうヘトヘトになる時があるんですよね。そんな時、タクシー・Uberが安いのは嬉しいです。時間もかなり節約できるわけですし。
日本だとなかなかすぐタクシーってわけにいかないですからね。とにかく、台湾は子育てをするには、すごく良い環境だなと思います。
カオルコ:そうですね、私もUberのヘビーユーザーです。息子にとっては、今回は何の車かななんて、楽しみもあります。
台湾現地採用者の子育て事情
カオルコ:ところでHIROさんの子育て事情について教えてください。お子さんの幼稚園、習い事について、まずは教えていただけませんか。
HIRO:はい、幼稚園は、台北市内の幼稚園でして、日本語のできる先生もいる幼稚園です。とても連絡がまめで親切な印象です。日本人の他、台湾人、他の国の生徒さんもいます。台北市内にはこの手の幼稚園がいくつかありますね。特に決め手があったわけでなく、「近所」で「日本語も可」という条件で調べてみたら、評判も良さそうだったので決めました。結果的には当たりでしたね。
中国語の授業、台湾で利用される文字、英語、課外授業など、子供も楽しそうに毎日登園しています。
習い事は、数学(算数)の学習塾、体操教室に通わせています。
これは近所の周りの同級生に合わせたところがありますね。台湾は、室内での習い事が結構充実していますよね。今後、お絵かき・美術教室、科学教室なども検討しています。
カオルコ:確かに、うちも様々な習い事を経験してきましたが、考えてみればとても充実しているなと思います。台湾も教育熱心なご両親が多いですからね。
台湾移住者の子供の将来のプラン
カオルコ:HIROさんのお子さんは、日本人と台湾人のハーフということで、今後お子さんの進路についてお考えはありますか。
HIRO:はい、ここは妻とも色々話をしています。まず、短期的には、元々は、日本人学校への小学校入学を考えていました。これは日本語教育をしっかりやっていかないといけないということからです。
他方で、今の住居に決めたのは、学区に人気のある小学校があったこともあります。今の学区にある公立小学校がかなり教育がしっかりしているようで、そこの入学を考えています。
結局、母親が台湾人ということであれば、最も使う言語は中国語になってきます。私とは日本語でも話をしますが、子供の論理的思考の基本は中国語と言えます。そのため、まずは中国語、そして日本語は第二言語の位置づけとすることが、子供の脳の発展、教育には重要かと。
このあたりは、ブリさんにも色々教えてもらいましたし、紹介してもらったバイリンガル教育の本も読み、考えていることです。
カオルコ:子供がハーフだから、2言語が自動でできるか、そんなに簡単なものではないのですよね。子供は自然に話すようにはなりますが、他方で脳の発達・学習の成長というところは考えていかないといけないですよね。うちは日本人家庭ですが、非常に悩んだところでもありました。
小学校以降の進路はどうでしょうか?
HIRO:はい、まだ漠然とですが、台湾の中学校については、公立のほか、私立も考えています。
高校以降は思い切ってまたどこかに移住しちゃおうかなんていうことも考えています。その時になってみないとわからないですが、子供の希望も聞きながら、台湾以外も視野に入れて考えていたりします。大学以降は、一人で留学してもらおうかとも考えています。
中国語圏はとても広い。そのため、選択肢も多いと言えます。英語もできた方が良いのでシンガポールやマレーシアなどは良いなと思います。
既に早いうちから国際交流しているので、まあ大丈夫だろうと。妻とは色々なことを話しますね。
カオルコ:すでにインターナショナルでとても将来が楽しみですね。台湾は、国際化の流れも進んでいるので、台湾国内でもますます国際交流が増えていくのだろうなと思っています。
台湾ファミリー移住者・移住検討者へのメッセージ
カオルコ:最後に、台湾へファミリーで移住をしている方、または台湾移住を検討している方に向けてメッセージをお願いします。
HIRO:はい。うちはまだ子供が小さいのですが、台湾の生活、台湾での子育てにはとても満足しています。国際化や教育もそうですが、どんどん見直しがされます。この一つに、台湾は、国と民間が近いというところも特徴かと思います。オードリータンさんが良い例ですが、閣僚・各大臣のポストに民間人が器用される。民間の実態を踏まえた政策が実行されていることも大きなメリットと思います。
コロナウィルス禍では、台湾政府の「人」、「人の命」を最優先に考えた懸命な対応というのが本当に顕著でありました。多少自粛期間はあったものの、政府の対応は素晴らしかった、今、こうしてほぼ正常な暮らしができている、子供が安心して幼稚園にいける、感謝しかありません。
台湾でファミリーで住むことの大きなメリットでもあると思います。
海外移住を考える日本人の方はこれからもっと増えていくでしょう。
台湾は、親日で、治安も良く、本当に住みやすい国です。
また、中国語はこれから世界で影響力を増していきます。安心した場所で、中国語を学べることは子供の教育・将来にとって大きなメリットと思います。
台湾の場合、私のような駐在からのパターンもありますし、なにしろ、台湾は親日なので、日本人にとっては仕事でチャンスは多いと思います。移住という形だけでなくとも、これからますます台湾と日本の親交が広まっていくと嬉しいと思っています。
カオルコ:HIROさん、今日は貴重な時間を頂き、とても参考となる話をありがとうございました。
HIRO:いえいえ、こちらこそバイリンガル教育、台湾の学校の話などカオルコさんに勉強させてもらっています。ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
まとめ
今回は、「台湾現地採用日本人HIROさんの生活事情」でした。
- 台湾台北、家族3人、生活コストはそれなりかかる
- 台湾の子育て環境は良いと考えられ、特に治安、医療、移動手段の点が良い
- 日台ハーフの子へのバイリンガル教育の難しさ
- 台湾在住者の子の将来計画
- 台湾での生活、学生ライフ、何より、政府によるコロナ対応によって、ほぼ正常な生活ができることの素晴らしさ
今回のインタビューにおいて、参考となる記事一覧
今回のインタビューをいかがだったでしょうか。
私も、海外で子育てをする母として、たくさん共感する部分がありました。
今回のHIROさんのお話に関連して、私の記事をピックアップしました。
どうして、台湾における子育て、生活、果たして、どのようなものなのか。何を大切にすべきなのか。より深く知ることができるはずです。
興味がありましたら、ぜひご参照ください^^
HIROさんの子供はまだ幼稚園児。どうして、子供の小学校を見据えて住居を決めているのか?
大切な我が子を安心して預けるために。日本人の台湾における幼稚園選びはこちらを押さえておきたい。
HIROさんも悩む台北の家賃の高さ…1円でも家賃を下げたい、当然と思います。こちらに「将来も踏まえた長い視点をもった」交渉術まとめています。
HIROさんの考える子供の小学校。台湾においても、小学校から教育熱心?政府主導の国際化教育とは?
子供への「バイリンガル教育」。最も重要な要素は外国語(中国語)ではない?
台湾の子育て環境。正直なところ満足できるものなのか?
台湾子育てにおいても必須!タクシー・Uber・配車アプリ事情
学生生活は一生に一度。正常な暮らし、青春を送ることができる素晴らしさ。全ては台湾政府の対応。コロナ対応から見る今後の安心とは?
特別インタビュー前編はこちら
TJ-ブリによるHIROさんの海外駐在から台湾現地採用へのストーリー、仕事内容についてはコチラをご参照ください。どうしてHIROさんが台湾に移住することができたか、仕事の状況を見ることができます。
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