【半導体を世界一わかりやすく】世界の台湾!ザっと押さえる【台湾経済とTSMC】

📖 台湾を知る

世界の超重要産業である半導体。でも、わからないことだらけ…。

TJ-ブリです。

さて、今回は、「半導体」です。
なかなかわかりにくい「半導体」ですが、世界一わかりやすく、そしてざっくり知るという趣旨で記事を書きました。

「半導体」は、スマホ、PC、その他あらゆる社会インフラにも利用されています。
もう私たちの生活において、世の中において、なくてはならない存在です。

この半導体製造産業、世界で台湾が最もシェアを占めており、台湾にとっても最も重要な産業となっています。

  • あらゆるところで利用されている半導体、そして世界でも超重要な産業となっているけど、そもそも半導体ってなに…?
  • 半導体産業がわかれば大きなメリット?お金を稼ぐこと、株式投資に有利と聞いたけど、どうして?
  • 実は、台湾が半導体産業世界一!?どんな企業があるの?
  • 半導体産業の最近の状況と今後について知りたい!
  • 台湾で最重要産業である半導体産業。台湾でモテる男の条件は半導体業界で働いていること!?やっぱり給料も良い感じなの?

半導体という言葉を聞いたことがあると思いますが、知らないことも多いと思います。
今回はこのようなお悩みに対して、押さえておきたい基本を解説しようと思います。

いまさら聞けない、「半導体」…

 

ブリ

「半導体」って何か説明できますか?

えっと、、、機械に入っているアレですよね。

(んん…ちゃんと説明できないな…。)

パソコンとかに入っているやつですよね。

(あれ…でも、どう伝えるといいんだろう…)

(え…なんか緑色だったり銀色が付いている板だったような…)

はんだ小手でつけるアレですね。

実は、なかなかちゃんと答えられる人は少ないと思います。

「半導体」。

新聞でもよく出てきますし、なんとなく機械に入っているものなんていうイメージはわかるけど、説明が難しい。

「半導体」は、パソコン、スマートフォン、テレビなどのデジタル製品、または、冷蔵庫、洗濯機、ロボット掃除機といった家電製品、自動車といった私たちが暮らす上で使う多くのものに含まれています。SUICAやキャッシュカード、LED電球なども広い意味で半導体が含まれています。

半導体とは、正確には半導体集積回路(半導体IC)ですが、電気を通したり、止めたり、残すなどを行うことができ、人間で言えば脳にあたるものです。実際はチップにその役割が入っています。

<半導体IC参考>

半導体は、人間で言えば脳の役割ですが、その中で電気を通したり、止めたり、残すといったことで、用途が色々あります。

  • 考える役割・データを処理する役割 ⇒ プロセッサ・CPU(Central Processing Unit)
  • その処理にあたる土台・短期記憶をしておく役割 ⇒ DRAM(ディーラム)
  • 長期保存・長期記憶の役割 ⇒ NAND(ナンド)、SSD

他にも細かく言うことができますが、まずは、

  • 「考えながら(プロセッサ・CPU)」、
  • 「土台(DRAM)の上で処理」をして、
  • 「それを長期的に保存して書き換えたりする(NAND・SSD)」

これらのために使われるチップと押さえておきましょう。

 

この半導体があるからこそ、我々の生活は大変便利になりました。

パソコンで仕事をしたり、スマホで連絡したり動画を見たり、オンラインで旅行のチケットを取ったり、電車やバスの運行情報がネットでわかったり、ATMでお金をおろしたり、預金残高がわかったり、株式の取引をしたり、生活インフラがコントロールされたり、ありとあらゆることが、データや通信によって処理されるようになりました。その根幹の役割を果たすのが半導体なわけです。

最近は、IoTの普及、ビッグデータの活用、5G 通信技術の向上、そしてコロナウィルスの普及によるリモートワーク、様々なオンラインサービスなど、デジタル化がますます進み、また処理されるデータも膨大となりました。この結果、半導体の役割もさらに加速し重要性が増しています

 

非常に奥が深い 半導体が完成するまで

半導体ICの製造完成にあたっては、いくつものプロセスがあります。

非常に複雑で繊細かつ一切の異物を許さない半導体の製造。
半導体が作られるまでには、ざっくり、設計⇒製造⇒パッケージング⇒検査があります。
この中身はかなり専門・技術的で細かいですが、ここでは概要を説明します。

設計では、回路やレイアウトを設計して、電気の動く道をセットする回路を写す作業(フォトマスクと呼ばれます)があります。
また、製造からパッケージング・検査は、よく前工程、後工程と呼ばれます。
前工程では、基盤となるウェハーと言われるものを、
洗浄⇒成膜・薄膜加工⇒フォトマスクから実際の配線をセット⇒電極の埋め込みといった作業を行います。
また、後工程では、前工程で製造された回路をチップ状にカットする「ダイシング」、そのチップを他の物とつなげられるよう配線処理(ワイヤーボンディング)し、保護するために封止(モールド)することで、パッケージングが完成します。
最後にちゃんと電気が流れるか検査・テストをします。

これで半導体ICが完成するわけです。

そして、この設計、製造、パッケージング、テストの中もとても大事です。
設計でも製造するにあたっても、材料製造工程、そして、それぞれの製造プロセスごとにそれを行うための装置があります。様々な、モノとプロセスと、それを実行する装置によって半導体ICが完成するのです。

そして完成した半導体ICが、私が利用している製品・商品に組み込まれるという流れになります。

<半導体の製造工程概要>
※Created by TJ-Bri

台湾の半導体産業の概況・世界の位置づけ

半導体の製造・電子機器の製造・組み立ては台湾企業が多くを担う

私たちの暮らしの中の多くに利用されている半導体。

例えば、iPhoneなどのスマホ、Windows、Mac、AmazonやGoogleなどの各種デバイスやサーバー機器、それらの中には全て半導体が入っています。

さて、この半導体の製造の多くはどこで実施しているかご存知でしょうか?

また、iPhoneそのもの、Macそのもののそれぞれの製造・組み立てはどこで実施しているかご存知でしょうか?

実は台湾の企業半導体製造、電子機器の製造組み立てのウェイトの多くを占めています。

Apple社でもMicrosoft社でも、半導体そのものの製造や製品の製造・組み立ては外部に委託をしているわけで、その多くを台湾企業が担っています。

 

半導体の製造委託をファウンドリー、製品の組み立てなどの受託生産をEMS(Electronics Manufacturing Services)と呼んだりまします。

押さえておきたいビジネス用語

  • EMS(Electronics Manufacturing Services)
    電子機器の受託生産を行うサービスのこと。まとまったロットでの生産対応を行い、独自に部材調達、設計、配送を行うこともある、ある製造の一部を切り取った「下請け」とは異なる。

この他、以下3つについては、広い意味ではEMSに含まれるが分けて使うことが多い。

  • ファウンドリー
    高度な半導体ICの受託製造を請ける。
  • OEM(Original Equipment Manufacturing)
    自社ブランドを持つ発注者が設計は行い、生産のみを受託すること。
  • ODM(Original Design Manufacturing)
    製造だけでなく企画・設計も含めて受託する。

そして、ファウンドリーとEMSの世界の代表格が、それぞれ台湾を代表する企業なのです。
ファウンドリーの代表格が「TSMC」、「UMC」
EMSの代表格が「鴻海(ホンハイまたはフォックスコン)」です。

半導体製造で世界シェア1位の「TSMC」

Data Source:2013 Uzk

ここでは半導体ということで、TSMCをピックアップします。
台湾で最も大きい企業がTSMCで、世界でも大きな存在感をもっています。

TSMC

  • 正式名称:台灣積體電路製造股份有限公司(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited)
  • 1987年にモリス・チャン(張忠謀)らによって創業された世界最大の半導体製造ファウンドリー。全世界のファウンドリー市場のシェア5割強を占める。
  • Apple、クアルコム、AMD(Advanced Micro Devices, Inc.)といったアメリカを代表する企業を顧客に持つほか、極めて高度な技術を必要とするナノスケール微細化が可能なため、元々自身でも半導体製造能力があるCPU製造大手のインテルといった企業もTSMCに委託を行っている。
  • 台湾証券取引所、ニューヨーク証券取引所に上場
  • 直近業績(単位:千台湾元)
  • 日本円は1台湾元を2020年度と2019年度は3.9円にて換算、2021年度は4円にて換算。
2021年度 2020年度 2019年度
売上高(千台湾元) 1,587,415,037 1,339,254,811 1,069,985,448
売上高(千日本円) 6,349,660,148 5,223,093,762 4,172,943,247
営業利益(千台湾元) 649,980,897 566,783,698 372,701,090
営業利益(千日本円) 2,599,923,588 2,210,456,422 1,453,534,251
最終利益(千台湾元) 589,453,678 487,836,280 333,520,247
最終利益(千日本円) 2,357,814,712 1,902,561,492 1,300,728,963
1株当たり利益(千台湾元) 23.01 19.97 13.32
1株当たり利益(千日本円) 92.04 77.88 51.94

※最終利益は、税引後包括利益全体

  • 2021年8月中旬の時価総額:5,399億USドル(約59兆3,900億日本円)
  • TSMCの時価総額は世界10位(この時は中国含むアジアで1位)!
    日本トップのトヨタ2,911億USドルの約2倍。ちなみにこの時のトヨタは世界32位。意外に思う方も多いのではないでしょうか。
  • 2021年12月期決算も増収増益にて絶好調、その勢い止まらず。
  • 💻ホームページ(日本語): https://www.tsmc.com/japanese

 

台湾を代表する半導体産業と主な企業 ~製造工程ごとに~

TSMC、UMC、鴻海以外にも、それぞれの分野で代表する企業がいくつもあります。

半導体の主な製造過程ごとの代表的な台湾企業は以下の通りです。台湾では頻繁に聞く企業名ばかりです。

押さえておきたい製造工程ごとの半導体関連の主な台湾企業

半導体関連の主な台湾企業
※Created by TJ-Bri

IC設計

IC製造(ファウンドリー)

IC製造関連

🏭 IC製造材料

🏭 IC製造設備

IC封止(ふうし)・パッケージング・パッケージ関連

ICテスト、テスト設備

受託生産(EMS)

 

最近の台湾半導体関連企業の状況

台湾では、毎日必ずと言っていいほど半導体関連企業のニュースが流れます。
特に、昨今のデジタル経済への転換、5G需要、コロナウィルスによる巣ごもり需要といった最近数年では、半導体企業のニュースが大半を占めることもあります。

上記の通り、台湾では、半導体に関連する過程のすべてにおいて企業があります。
このため、多くの外国企業も台湾へ進出し、この半導体関連作業に寄与しています。

この中心にいるのが、TSMCです。

半導体の技術が向上した結果、現在、90%以上の半導体は受託生産ファウンドリーにて製造がなされており、台湾、韓国、中国が大半を占めています。

そして、ファウンドリー市場の5割強、そして、半導体の中でも重要性の高い小型で高性能の製造の80%以上のシェアを占めるのがTSMCです。
この結果、TSMCの発展に付随して、台湾では半導体製造、製造装置、そして各種材料にかかる産業が発展しているのです。

麦一

TSMCは、台湾では、新竹、台南といった地域に大きな工場を有しますが、TSMCの工場の周りには、関連する材料などの企業がたくさんあります。まさにTSMC群/TSMC村です!

 

世界のIT産業の景気を占う台湾 ~株価予測に役立つ~

冒頭に記載したように、現在はPC、携帯、スマホのみならず、IoTとしてありとあらゆるものに半導体が含まれており、さらに社会経済全体がデジタル化の方向に進んでいることからも、その基礎をなす半導体は重要なものとなります。

そして、台湾産業の重要な要素は半導体です。

台湾の産業が世界のIT産業の景気を占うと言われるゆえんは、電子機器やデバイスが発売される前には、半導体を製造する必要があるので、それらの販売前に台湾の半導体産業が好況となり、そして販売となるため、台湾景気⇒世界のITという時系列で景気が流れるわけです。そのため、占うという言い方がされることがあります。

しかし、最近は、コンスタントに台湾経済は良好であり、今後もIT需要は高まるばかりです。

TSMCも20%の値上げを発表するなど、好調はこの先も続くでしょう。また、どこの需要予測においても、半導体産業はこの先数年も好況が続くというコメントが発されています。

もし、台湾半導体産業の業績が悪くなり、不況になったときが次のIT景気占いの要素になるように思います。

まとめ ~台湾経済の可能性~

今後の台湾経済の行先は明るい兆し

半導体産業が中心の台湾。そして、世界は益々ITを中心とした生活・経済が発展していきます。この結果、台湾経済はこれからも成長していくことが見込まれています。

台湾半導体産業協会(TSIA)によると、工業技術研究院の予測では2021年の台湾IC産業の産出値(output value)は4兆0190億元(約16兆日本円)となっており、2020年より24.7%の成長、このうち、Memoryの増加幅が最高となっており50%近くの増加、その次にIC設計とのことであります。

この結果、台湾IC産業は、10年連続増加となる方向です。

ここで言いたいことはこの3点です。

  • 世界全体がIT、ネット、テクノロジー、情報技術社会となっており、半導体IC産業はこれからも成長産業であること。
  • そして、台湾の主要産業は、この半導体IC産業であり、これに関連する、材料、製造装置、製造、サービスといった事業・会社がたくさんあること。
  • 結果として、台湾全体の経済も成長傾向であること。

台湾の給与事情を見ますと、半導体産業は圧倒的に高い水準にあります(>【台湾おカネ事情!これが給与実態!】現地採用の狙い目!【移住への第一歩】)。

結果として、台湾の景気は上向き、国内の消費もさらに増加傾向となっていくことが予想され、他の業種も間接的に好景気になる可能性を秘めていることが言えます。

 

台湾雇用では日本人に大きなチャンス

私は、台湾に移住している身として、これからも台湾経済が発展していくことに期待しますし、友好関係がある日本にも良い波及効果があればうれしいと思っています。

具体的には、台湾に住む日本人の方がより豊かな生活になったら嬉しいですし、これからも日本人の方が台湾の移住を検討してくれたら嬉しいと思っています。

台湾

治安も良く、生活環境も整っている、そして、親日であるすばらしい国です。

さらに、経済、景気も上向きであります。

 

台湾でのビジネス・仕事、そして語学(中国語)において、我々日本人はいくつか利点があります。

台湾における日本人雇用需要が半端ない

台湾で仕事という点では、台湾は非常に日本人、日本に興味を持っており、日本人の雇用に積極的です。我々日本人にとって大きなメリットがあります。雇用については、以下の記事が参考になるはずです。

【台湾で転職】日本人が現地採用で勝つための秘訣【移住への大きな一歩】

中国語ができる日本人は少ない←大きなチャンス

また、中国語が公用語の台湾。世界で多くの人が利用しているにも関わらず、日本人で話せる人は少ない。これは、大きなチャンスと思います。語学をこれから始めるなら、または年収アップを図りたいなら、絶対に中国語がおすすめです。興味があれば以下の記事は参考になるはずです。

【これから語学なら中国語】学ぶ日本人は少ない!最初の勉強方法を紹介!海外移住に備えよう

海外移住候補先として台湾を検討するなら

そして、コロナウィルスへの対応によって、人的往来が可能になってからですが、今だからこそ、海外移住の準備をしておくというのは大きなリードとなると思います。

【2021年台湾移住ガイド完全版】全部解決!台湾移住実行の基礎

 

私はこれからも日台間、日本人、台湾人、共にますますWIN-WINの関係になっていくと良いと心から思っています。

日台互いの経済、人や文化の交流、ますます繋がっていくことを望んでいます。
この記事が、台湾半導体IC産業を知り、台湾経済を知り、そして、台湾との仕事や台湾での転職などに役立ってくれたらうれしいです。

ここまでお読みくださりありがとうございました。

 

参考にした書籍

半導体について、または半導体関連業界も含めてより詳細に把握したい方はご参考ください。

📖 図解入門業界研究 最新半導体業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]


 

📖「会社四季報」業界地図 2022年版


 

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