台湾永住権、永久居留証(APRC)の取得を検討しよう
こんにちは、TJ-ブリです。
今回お話する内容は、台湾の「永住権」についてです。
アメリカの「グリーンカード」など、外国で合法的、かつ将来にわたって住むことができる権利、それが永住権です。
「永住権」!!!
聞いただけでカッコいい!自国のみならず外国でもずっと暮らすことができる!ハイステータスなイメージ!
ははは。そうですね、聞こえはいいですよね。
私も台湾在住5年を経過した6年目に台湾永住権を取得しました。
しかし、永住権を取得することのメリットのほか、デメリットもしっかり把握し、そして、自分の将来の安心を手に入れることが本質です。
そうか…
永住権の取得にはデメリットもあるんですね…
そうですね、永住権を取るとは何か、それはしっかり考えておくべきということになります。
もちろん、良いところもありますし、最近は、台湾の永住権の取得が緩和されています。そのあたりも解説しますね。
今回の記事では、
- 日本に住んでいるが、将来的に海外移住を検討されている方
- 台湾に住んでいて、このまま台湾永住権の取得を目指したい方
を対象に、台湾永住権、つまり永久居留証(APRC: Alien Permanent Resident Certificate)について、以下の内容をお話します。
永久居留証の取得方法は他にサイトや記事がありますが、TJ-ブリならではの「専門的見地」、特に税や台湾制度の観点から記載した記事はここだけ!!!
しっかり把握し、将来の安心を手に入れましょう!
- 永久居留証を取得するメリット
- 永久居留証を取得するデメリット
- 永久居留証の取得方法(要件・手続き)
- 意外に知らない永久居留証に関する色々
- 海外移住と永住権、そして日本と自分の将来についてもう一度考えてみたい
永久居留証を取得するメリット
まず、永久居留証取得の一番のメリットは、台湾に合法的に住む権利を得ること、これに尽きます。この結果、以下の権利を得ることができます。
- 期間制限なく台湾に居留できる(「永久居留」というくらいですからね)
- 台湾で暮らしていくため、自身の権利で就労許可を取って仕事に就くことができる
通常、台湾に住むためにはビザの取得が必要となります。
就労ビザ、留学ビザ、家族帯同ビザなどありますが、要は、一定の期限と要件が紐づいています。
例えば、就労ビザであれば、雇用されている会社で就労許可を取得してもらい、その上で自分は台湾に滞在できることになります。そのため、雇用期間が、台湾の居住できる期間、ビザの有効期間になるわけです。これを超えた場合、ビザ及び居留証の更新が必要になります。
一般勤務の方については、通常の居留証と永久居留証を見比べると、メリットが顕著にわかりますね。
上記の通り、雇用されていた会社の「招聘(しょうへい)」の欄がなくなっており、自身の権利で就労するできることを意味しています。ただ、自身で職に就くためには、別途「工作許可証」を申請する必要もありますので注意してくださいね。
このほか、台湾で生活、勤務していると以下のようなメリットもあります。
- 銀行口座、証券口座が開設しやすい
- 保険の契約もしやすい
- 居留証の更新の手間がいらない(パスポートの更新がある場合などは簡単な更新手続きが必要)
- 台湾国籍住民と同様、政府の補助を取得できる可能性がある(例えば、コロナウィルス中に配布された5千元(「五倍券」:約2万円のクーポン券)など)
- 企業勤めの場合(雇用主がいる場合)、退職金新制度の加入要件を満たす(台湾は国で退職金制度があり、企業の積み立てが義務付けられています)
ちゃんと把握しておこう 永久居留証取得のデメリット
永久居留証を取得した以降は、滞在要件があります。毎年、年間183日以上滞在することが原則となっており、5年空いた場合には、法文言上は、永久居留証の取り消しをすることが明記されています。
年間183日以上の滞在要件・・・?ということは・・・税金・・・?
このサイトをご覧になられている方は、気付いたかもしれません。
そうです、年間の滞在183日以上ということは、台湾での税務上の居住者を維持することになります。平たく言いますと、台湾にて、台湾のルールに則してしっかり税金を納めることが必要となります。
日本を含めて海外に所得がある場合、台湾で思わぬ課税がなされる可能性がありますので、この点は十分注意しましょう。場合によっては大きなデメリットになりえます。
>台湾の税金については、移住前、移住後でも、こちら「【誰でもわかる台湾の税金】わかりやすく把握【移住・ビジネスでは必須】」でしっかり押さえておきましょうね。台湾会計士監修の上、素人向けにわかりやすい記事です。
あとは、台湾永久居留証取得のデメリットは、こんなところです。
- 申請費用が10,000元(約40,000円)かかる
- 台湾の空港のイミグレーション(居留証を持っていれば台湾パスポートの方で行けます)にて、居留証を提示すると、審査官から「どうして居留期間がないんだ?」と質問されることが多く、毎回の回答が面倒。
- 一時的に台湾を長期離れた場合で、台湾に戻ってきた時に保険料を請求されたケースもあるようです(←読者の方からコメントで頂きました。ありがとうございます m(_ _)m )。
永久居留証の取得方法
さて、永久居留証の取得方法について入っていきます。永久居留証の取得のポイントは主には2点です。
- 要件として、台湾居住5年以上(各年183日以上の滞在)
- 対応として、所轄の移民署に必要書類をまとめて提出、申請費用は10,000元(約40,000円)
細かなところはありますが、まずはこの2点を押さえましょう。
要件は、滞在要件だけなので、この点では台湾の永久居留証の取得は難しくないと言えます。
詳細は、移民署のホームページ(中文)となりますが、この記事ではわかりやすく、かつ簡潔に記載します。
永久居留証の取得要件
一般の外国人の場合、「合法的に、連続居留5年以上かつ毎年の居住日数183日以上が要件」となります。基本的には、これに尽きます。
永久居留証の取得要件(中文原文)
- 一、 外國人應於我國合法連續居留五年,每年居住超過一百八十三日之期間屆滿後,二年內申請。
二、 居住臺灣地區設有戶籍之國民,其外國籍之配偶、子女亦可適用在我國合法居留十年以上,其中有五年每年居留超過一百八十三日之期間屆滿後,二年內申請。- 三、外國專業人才在我國從事專業工作,合法連續居留五年,平均每年居住超過一百八十三日之期間屆滿後,二年內申請。
- 四、外國特定專業人才在我國合法連續居留三年,平均每年居住超過一百八十三日之期間屆滿後,二年內申請。
- 五、受聘僱從事專業工作之外國專業人才經許可永久居留後,其配偶、未成年子女及其成年,因身心障礙無法自理生活之子女,在我國連續合法居留五年,平均每年居住一百八十三日以上,二年內申請。
- 六、受聘僱從事專業工作之特定外國專業人才經許可永久居留後,其配偶、未成年子女及其成年,因身心障礙無法自理生活之子女,在我國連續合法居留三年,平均每年居住一百八十三日以上,二年內申請。
出典:内政部移民署 外國人申請永久居留送件須知より
2020年の法制定によって、外国特定専業人材・就業ゴールドカードの制度ができました。詳細はこちら「1,200万円~高所得者は台湾に超移住しやすい⁉ 外国特定専業人材・就業ゴールドカード【税金軽減】」を参考にしていただければと思いますが、特定の要件を満たす日本人含む外国人については、外国特定専業人材・就業ゴールドカードを申請することができます。
この場合、永久居留証の発行要件は、通常、「年間183日滞在×5年」のところ、「3年」に短縮されています。つまり、より短い期間にて永久居留証を取得することができるわけです。
永久居留証の申請方法
永久居留証の申請方法です。必要書類をまとめ、所轄の移民署のサービスセンターにて申請を行うことになります。
申請費用は10,000元(40,000円)、およそ14営業日で対応できますが、担当からの質問や補足の資料の要求によってはこれ以上時間がかかります。資料の準備から申請・承認・永久居留証の取得まで、およそ「1ヶ月~2ヵ月」をみておくと良いでしょう。
また、コロナウィルスの警戒レベルによって、審査により時間がかかることもあります。
提出先
申請受理先は、所轄の労働部サービスセンター(各所轄センターはコチラ)となります。
必要書類
移民署HPから、申請書をダウンロードできます。
申請書WORDのLINKはこちら。
必要基本事項を、記入しましょう。
証明書規格、2インチ規格とありますが、縦4.5㎝×横3.5㎝(パスポート等用)で大丈夫でした。
原本が必要となりますが、原本はすぐに返却してくれます。
同じく原本はすぐに返却してくれます。
通常下記Aの所得証明(税務申告書・源泉徴収票)で足ります。
- 基本は個人所得税申告書(「外僑綜合所得稅結算申報書」)と給与所得の場合には源泉徴収票の原本及びコピー(「薪資所得扣繳憑單」)にて証明します。
要件として、直近1年(申請年度の前年1/1~12/31)の毎月の平均収入が労働部が公告した「基本工資」(2021年は24,000元)の2倍、つまり月平均48,000元を超えていることとなっているためです。 - 上記の収入要件でなく、動産あるいは不動産の総額が500万元以上(動産と不動産の合計額)以上を有する場合で申請する場合は、別途、金融機関の残高証明や、不動産鑑定、固定資産税告知書等が必要となります。この場合、個別に移民署に確認することが望ましいです。
台湾での良民証(無犯罪証明)の発行は下記の手順で実施します。
- 警察局のHPにて事前申請する⇒LINKはコチラより(「警察刑事紀錄證明申請ページ」)
「不使用自然人憑證」を選択します。 - 一定期間経過後、警察局外事科へ証明書を取りに行く
上記HPで申請後2-3日で準備が完了します。通知はないので、HPで確認してすぐに取りにいきましょう。
所轄の警察局外事科各拠点の場所はコチラより。 - 台北の場合、警察局外事科はMRT西門駅の近く(臺北市中正區延平南路96號)です。
外観
受付(居留証も提出)
すぐに発行してくれます
※本国(日本人の場合は日本)の無犯罪証明証も必要書類に記載されますが、5年間の台湾滞在のうち、3か月以上台湾を離れていなければ不要です。
- 【会社勤め・企業勤務】の場合:就労許可証と1ヶ月以内の在職証明
- 【就業ゴールドカード保有者】:就業ゴールドカード(⇒就業ゴールドカードについてはこちらに説明があります。)
- 【台湾で起業されているまたは会社責任者】の場合:経済部の設立公文書、その会社の登記表、または、ベンチャー起業の場合は直近一年の実際の経営に関する証明(法人税申告書等)
- 【その他】の場合:移民署の担当に確認しましょう。
通常不要(5年間のうち、3か月以上台湾を不在にしていない場合は求められません。)
移民署HPに他に記載がありますが、基本的には上記を押さえておけば足ります。
後は移民署の担当官の指示に従いましょう。
知らなかった!!【留意点】
ここでは、台湾永久居留証に関するよくありがちな勘違いとなります。
答え:原則、取得できません。
旦那様が永久居留証を取得しても、すぐに帯同のご家族、つまり、配偶者や子供も取得できるわけではありません。
上記の取得要件のうち、「五」に記載の通りです。招聘されて勤めている外国人材が「永久居留証取得後」、配偶者、未成年子女等が連続5年(かつ各年183日以上)居留している場合と記載されています。
五、受聘僱從事專業工作之外國專業人才經許可永久居留後,其配偶、未成年子女及其成年,因身心障礙無法自理生活之子女,在我國連續合法居留五年,平均每年居住一百八十三日以上,二年內申請。
旦那様の永久居留証取得後、さらに5年の年月が必要となります。つまり、旦那様が最初に台湾に居留してから合計「10年」の期間が必要となります。
但し、外国特性専業人材のステータスの場合は短縮されていますので、上記参考ください。
※原則は上記と認識していますが、移民署に確認されることをおすすめします。
答え:はい、できません。
この場合、原則奥様は、就労ビザではなく、帯同ビザとなります。そのため、就労が許可されるものではありません。就労許可について別途検討が必要となります。
まとめ
日本を否定するつもりは一切ないが備えは大事
日本の外務省のデータによると、2020年10月、日本国外に住む日本人は135万人、国別では台湾は13位で2万4千人強となっています。都市別では台北は17位1万2千人です。
日本の人口は減少しており、他方、日本人の海外移住者は、全体で毎年5万人ほど海外移住者が増えています(但し2020年は減少)。
このサイトでは、海外移住に興味のある方、台湾移住に興味のある方向けの参考となる情報も記載しています。
どこよりも密な経験に基づく情報と自信を持っていますが、私は日本を否定するつもりは一切ありません。
私は、日本人ですし、定期的に日本に帰国もしています。日本のことが大好きで、台湾人向けに日本の良さも伝えています。
私は、海外に出て初めて知る日本の良さも痛感しています。日本の良さをより知るためには、逆説的ですが、海外に出ることであったと認識しています。
一度きりの人生、海外移住の選択、そして、海外から見た日本を知る、そして、その上で日本が好きなら日本を伝えていきたい、そういう気持ちです。
私は台湾の永住権を取得しましたが、日本国籍のままで、これからも台湾を基盤に日本と行き来をし日本の良さを伝えていきたい、台湾の良さを伝えていきたいと考えています。
永住権は、海外に拠点を持つという安心感でもあります。
日本を改めて知り、そして、海外を拠点にする日本人として活動していく選択肢の一つです。
ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
この記事が、台湾永住権・永久居留証の取得、そして、改めて海外移住を考えるきっかけとなれば幸いです。
台湾永住権(永久居留証/APRC)の取得にあたって
今回のまとめです。
- 台湾永久居留証は、台湾で合法的に住み続けられる権利
- 工作許可を取得することで、自身で仕事に就くことができ、台湾に住むことができる
- その一方で、永久居留証の維持は年間183日以上の滞在要件があり、5年間空くと発行取り消しの可能性もある
- また年間183日以上の滞在要件ということは、台湾の税務上の居住者が継続するため、台湾国外に所得がある場合など、税務上の課税要件に注意すべき点、デメリットとなりうるので注意
- 永久居留証の取得要件・方法のポイントは主に以下の2つで、他は申請当局(移民署)に確認しながら進めると良い
- 要件として、台湾居住5年以上(各年滞在183日以上)
- 高額所得者など、外国特定専門人材や就業ゴールドカードを有する場合は、居住要件は3年に短縮されている(各年滞在は183日以上)
- 対応として、所轄の移民署に必要書類をまとめて提出、申請費用は10,000元(約40,000円)
- 備えは大事!日本はすばらしいが、今後の日本の情勢や世界の動向を踏まえると、海外も視野に入れておく、海外を経験しておくことは将来の安心・備えになることは言うまでもない。他国に永住権を持つことの安心は、自身の将来設計でも心強いものとなるはず。
海外移住・台湾移住をもっと知りたい方・移住を目指したい方向け
永住権の取得前に、そもそも海外移住、台湾移住を検討してみたいという方は以下の記事を参考にしてみてください。
こちらで徹底的にまとめています。
通常はまずは、収入の確保。つまり「職」です。自分に合った納得の行く案件を見逃さないことかと思います。
※海外移住の「か」の字からなら、、、
このあたりの書籍を読んでみると良いでしょう。参考になります。
💡移住者たちのリアルな声でつくった 海外暮らし最強ナビ アジア編
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